キングラン東海の古川です。
有料老人ホームでのメンテナンス作業での出来事です。
あるお部屋で作業をして、失礼しようとしたところ、入居者様が机をトントンと叩きました。
呼ばれたかと思い近寄ると、携帯に文字を打ち込んで見せてくれました。
その方は喉に管が入っている寝たきりの方で声が出せない方でした。
携帯には『緑じゃないの?』とありました。
その日は定期メンテナンスの中でも、お預かりし洗ったカーテンをお戻しする日でした。
外したカーテンの代わりに付けている代替えカーテンの色が普段と違っているのを指さして、
元のカーテンの色の『緑じゃないの?』とお聞きになられたのを察しました。
「今日はお預かりしたカーテンを戻しますので、元の色になりますよ。」
とお伝えしたところ、入居者様は手を合わせて『ありがとう』という口ぶりをしました。
お部屋を出ると、職員さんが
「よく言っていたことが分かったね。口ぶりとジェスチャーだけで」
と言って下さりました。
私は入社10年が経ちましたが、今思うと入社当初は患者様や利用者様の言っている事が分からず、
すぐに看護師さんやヘルパーさんを呼んでお願いすることが多々ありました。
この業界では長く経験を積むことが大切なのだと、改めて感じました。
医療・福祉施設では、表現がしたくても出来ない方がたくさん居ます。
これからも相手の気持ちを少しでも汲んであげられるよう、メンテナンスの経験を積んでいきたいと思いました。
(古川)