キングラン東海の包原です。
私たちは、カーテンの交換作業で、重度の認知症の方のお部屋に入る機会がよくあります。
以前より、認知症の方のお部屋での作業では、
「カーテンや備品を持って行ってしまうので目を離さないで下さい」
「脚立など危険性のある物へ近づかないよう目を離さないで下さい」
等の注意点を受け、細心の注意で作業をさせて頂いております。
ですが、この「注意点」ばかりに目が行っている事もあり、
入居者様とのコミュニケーションや、提供できる「悦び」に対する考えは深く持てずにいました。
そんな中、とあるグループホームのお話をお聞きしました。
その施設では、利用者様が作業を手伝ってくれた時などに
「手伝ってくれてありがとう!」
と職員さんが御礼を言うそうです。
認知症の方は、会話の内容は数時間後には忘れてしまうそうですが、
「嬉しい気持ちになった」という感情は1日経っても残る、ということでした。
このグループホームでは、このような取り組みをするようになって、
それまで怒りっぽかった利用者様が穏やかになり、職員の方の負担も少なくなったのだそうでした。
このお話を聞いて、重度の認知症の方であっても、
カーテンの交換を通して悦んでもらえるのではないか?
と思うようになりました。
そこで、認知症の方のお部屋に入る時に、普段以上に笑顔で話しかける様に心掛け、
終わった後は「交換終わりました。お洗濯してきれいになりましたよ。ありがとうございました。」
と、これまでよりも少し長めの言葉で、笑顔で話しかけるようにしました。
無反応な方もいますが、「ありがとう」と、とても喜んだ笑顔で返してくれる方も増えて来ました。
こうした行動を続ける事で、認知症の方の心の片隅に
「今日は良い気持ちになった」
という感情が残って頂ければいいなと思いました。
(包原)