今回訪問させていただいたのは、静岡県は加茂郡河津町にある、
「河津浜区公民館」さんの敬老会。
ここで、ある津軽三味線グループの演奏があるということで、
家族旅行を兼ねて、見学させていただくことになりました。
その津軽三味線のグループというのは、「民芸集団 奏鳴曲(ソナタ)」さん。
10数年もの歴史を持つ、津軽民謡の団体さんです。
【奏鳴曲HP】http://music.geocities.jp/mingeisyuudansonata/
【奏鳴曲ブログ】http://sonata.eshizuoka.jp/
以前取材させていただいた、「春風火舞」の代表の方から、
「奏鳴曲さんは、この辺では有名だから、見た方がいいよ」
と進められ、代表の高岡さんに取材を申し込みました。
一体、どんな団体さんだろう、と8月に静岡県は伊豆の国市にある道場へご挨拶。
道場には、芸を教えている先生と、小学校ぐらいのお子さんが数人。
そこは、お子さんに芸を教えるお稽古場でした。
どうやら、目の前にいる笑顔のお子さん達が、まさに演奏を披露するようです。
早速、高岡さんからお話をお聞きすると驚きの連続。
ここで芸を習った子達は、民謡の全国大会で優勝してしまうレベルだそうだ。
「来月も大会に青森までいくんですよ。」と高岡さん。
よく見てみると、道場の壁にはずらりと表彰状が並んでいました。
そして、定期的に、福祉施設でのボランティア演奏もしているとのこと。
お子さんが一生懸命演奏するのには、利用者さんも大喜びなのでしょう。
しかし、全国大会で優勝するレベルの津軽三味線って、どんななのか?
私は河津町の敬老会での演奏の見学をお願いしました。
9月21日(祝)。
私は家族旅行を兼ねて河津浜公民館へお伺いすることに。
しかし連休のためか、渋滞に告ぐ渋滞で、開演の午後1時に間に合わず。
やっとの思いで公民館についたのは午後2時ごろでした。
公民館の外までも聞こえてくる三味線の音色。
急いで入ってみると、やってました!奏鳴曲の皆さん!
4人の三味線の女性に、パーカッションの男性1名。
会場中が手拍子をしながら歌を歌っています。
圧倒されたのは、その演奏。
息が合っているとか、上手というレベルではなく、
このメンバーで一つの世界を作っているかのよう。
「すごい、、」と思わずため息をつきました。
津軽三味線とはこんなにも力強い音を奏でて、
こんなにも豊かに感じるものなんだと、初めて知りました。
続いて披露されたのが「二人羽織」。
かわいらしい女の子二人の演奏です。
演奏を始めてびっくり。
なんと前の子が左手で弦を押さえながら歌い、
後ろの子は右手でバチを持ち、弦を弾く。
一人で引いたって難しい早くて複雑そうなフレーズも、
全く狂うことなく、二人で演奏します。
二人は小さい頃から一緒にやってきて、
「一緒にやってみる?」という感じで二人羽織をやってみたとか。
ギターをやったことのある方なら、
この凄さは分かると思います。
続いて弾き語りのソロ演奏。
この女性は来年4月のコンサートパンフレットの表紙も飾っています。
抑揚のある曲で、手の動きの見えないほど手早い動きや、
時にしなやかな演奏も柔軟に難なくこなします。
歌もとても上手で、高い声が三味線とシンクロして響き、
お客さんもすっかり聞き入っているのが分かります。
歌詞も聞きやすく、悲しい恋の歌を、
琵琶法師の語りのように綺麗に語りあげます。
つづいて、三味線と踊りで飾る「津軽よされ節」。
高岡さんが歌いながら、三味線と太鼓に乗せて踊りを披露します。
この踊りも見事で、3人の息がぴったり。
非常に早く複雑な動きを鮮やかに表現します。
この踊りの見どころは、帯を使った芸の部分。
青・黄・青の帯をどこからともなく取り出し、舞います。
この帯を使ってひとしきり踊った後、
まるで手品のような一瞬のこの芸。
↓
ちょっと目をつぶったら分からないぐらいの早業で、
手に持った帯で袖を縛り挙げてのタスキがけ。
カメラ越しに見ていた私には、一体どうやったのか、
全く分かりませんでした。
その後も赤い扇をまたどこからともなく取り出しての演技。
観客の方も飽きる暇もなく、鑑賞を楽しんでいました。
続いて「花笠音頭」。
メンバーの方々総出での披露です。
真ん中には観客の親戚の子か、
飛び入り参加で腹芸もやってくれました。
見ているお客さんも大盛り上がりの大笑い。
手拍子と歓声が入り混じり、盛り上がりもピークに。
最後の曲は、観客の方をゲストに招いての『高校三年生』。
歌詞カードも用意しての三味線生演奏カラオケです。
高岡さんが歌を隣でサポートしながらゲストの方が熱唱。
会場の方も一緒になっての大合唱でした。
ここで驚いたのは、ゲストの方が歌い出すタイミングを間違えた時のこと。
イントロの途中なのに、間違えて早く歌いだしてしまったゲストの方。
高岡さんが修正するのかな、と思いきや、
なんとバックの演奏が歌に合わせて演奏を変えたのです。
それも三味線の3人が何でもなかったかのように、
ゲストの方の歌を優先して演奏を自在に変化させました。
おかげでゲストの方は自分のペースで気持ちよく歌えたはず。
これを小中学生の若い子ができることに非常に驚きました。
最後、アンコールの希望があったので、
またゲストの方のカラオケによる『北国の春』。
これも歌いやすいように歌いだしを女性が教えてくれて、
周囲は歌にあわせた踊りでサポート。
三味線に踊りつきという、とてもぜいたくなカラオケに、
恥ずかしがりながらも満足げなゲストの方が印象的でした。
大盛況の中、演奏は終了しました。
たくさんの拍手の中、舞台幕が閉じていきました。
全国大会で優勝するレベルというのはこんなにも凄いものなのか。
驚くほどの演奏の技術もあったのでしょうし、
手品のような、サーカスのような芸もあったでしょう。
しかし、私は、小中学校ぐらいの子達が、
歌っている方に演奏を合わせたりするような、
このホスピタリティに一番驚きました。
「民芸集団 奏鳴曲」で芸のお稽古を受ける子達は、
こうして芸も身に着けながら、このような精神を学んでいくのでしょう。
本当に本当に、感動しました。
また、遅れていったのに、やさしく迎え入れてくれた
河津浜区公民館の皆さんの暖かさもとても嬉しかったです。
無理言ってお伺いしたのに、
私の奥さん・子供にイスを用意してくれたので、
最後までゆったり鑑賞することができました。
おかげで、まだ生後9ヶ月の私の息子も、
演奏に最後までおおはしゃぎでした(笑)
「民芸集団 奏鳴曲」の皆さん、素晴らしい演奏をありがとうございました!
河津浜区公民館の皆さん、素敵な敬老会をありがとうございました!
★民芸集団 奏鳴曲★
【お稽古場住所】 伊豆の国市立花2-49
【TEL&FAX】 0558-76-4521
【代表】 高岡由美子
【HP】 http://music.geocities.jp/mingeisyuudansonata/
【ブログ】 http://sonata.eshizuoka.jp/