今回訪問させていただいたのは、静岡市葵区にある
身体障害者福祉施設「静岡桜の園」さん。
静岡インターチェンジから約20分のこの施設は、
周囲を自然に囲まれた閑静な場所に建っています。
ですが中に入ると非常に賑やか。
利用者さんの書道・絵画作品が壁に並び、
デイルームからは笑い声が聞こえて和やかな雰囲気。
今回ご紹介するボランティアさんは、
なんとギター1本で全国の施設に「ホスピタルライブ」を提供している
シンガーソングライター松尾貴臣さん。
昨年は西は熊本から北は秋田まで、
3万キロを走破し、120件の施設を回ったそうです。
もともとはバンドをやっていたそうですが、
昨年から「株式会社こころざし音楽工房」を立ち上げ、
プロの音楽活動家として本格的に活動されています。
【松尾貴臣公式HP】http://www.omitaka.com/
【こころざし音楽工房HP】http://www.omitaka.com/cocolozashi/
「ミュージシャン」というと、TVに出るようなメジャーな方を除くと
どこか社会とは隔絶された、食べていけないイメージがありますが、
松尾さんはその逆を行っているまれに見る音楽家。
そもそもは高校からギターで作曲活動を行われ、
地元長崎からミュージシャンを志して上京されてきたそうです。
しかし、大学卒業後、ソロ活動をする中で、
住んでいる「西千葉に役に立ちたい」という思いの元、
商店街ソングを作るなど、地域活性化に努めます。
その後、末期がんのMOMOさんとの出会いを通じて、
生きている時間の大切さを歌った『きみに読む物語』は、
2008年に行われた日本ホスピス・在宅ケア研究会全国大会の
テーマソングに採用され、朝日新聞にも掲載されたそうです。
ホスピタルライブを始められたのは2007年の末。
高知県を皮切りに全国の病院・施設を回られており、
社会に役立つミュージシャンの新しい形を作られています。
患者さんや利用者さんは普段生で歌を聴く機会に乏しく、
そこで歌を歌ってあげることは日々の活力になる。
そこで「ありがとう」の一言を言われるだけで、
「CD売れなくてもいいや」と、勇気をもらうそうです。
こういった一見お金にならない活動を続けられることで、
高校の文化祭に招かれたり、社会系イベントのゲストになったり、
松尾さんの活動は着実に世の中に認められつつあります。
さて、私個人松尾さんとの出会いは衝撃だったので、
少々前説が長くなってしまいましたが、いよいよ当日の模様です。
曲のラインナップはオリジナル、カバー曲合わせて7曲。
1.喜びの歌(オリジナル)
2.上を向いて歩こう
3.崖の上のポニョ
4.ふるさと
5.四季の歌(オリジナル)
6.きみに読む物語(オリジナル)
<アンコール>さくら(独唱)
「松尾貴臣です。西千葉からハッピーを届けにきました!」
羽織袴姿で登場した松尾さんに一同拍手が湧き起こります。
羽織袴は坂本竜馬を模した格好で、
利用者さんも大変喜んでいました。
「あいさつ代わり」にと歌う第一曲目は『喜びの歌』。
結婚する二人に向けた歌だそうです。
松尾さんのきれいな優しい歌声が会場に響き渡ります。
利用者さんは思った以上の盛り上がり。
1曲目から手拍子が起こり、踊りだす方も。
歌の終了後は大拍手。
「イエー!」と大きな声を上げる利用者さんも。
2~4曲目はカバー曲。
「上を向いて歩こう」「崖の上のポニョ」「ふるさと」と続きます。
皆が知っている曲ということもあり、会場内は大合唱。
口ずさむ方、手拍子する方、手で指揮を取る方も。
「崖の上のポニョ」は利用者さんからのリクエストらしく、
ポニョの踊りを皆が踊りながら盛り上がりました。
「ふるさと」は歌詞カードも用意されており、
歌いやすさにも配慮されているのを感じました。
途中、「うさぎ食べたい」と冗談を言う利用者さんにも
松尾さんが突っ込みでフォローして喜んだり、
「ふるさと」の途中ではギターを止めて皆で手拍子で歌ったり、
変化に富んだライブで飽きさせません。
5曲目は「ありがとう」を伝えたいという想いを込めた『四季の歌』。
分かりやすい歌詞のきれいな曲です。
最後の曲は、末期がん患者MOMOさんのために歌った『きみに読む物語』。
MOMOさんとの出会いによって気づいた大切なものを歌に込めています。
会場には歌詞と、この歌を取り上げた朝日新聞の記事が配られ、
会場中がしんみりと情景を思い浮かべるように聞き入ります。
私も歌詞を見ながら松尾さんの優しく真剣な歌声に
ついつい涙が浮かんできました。
曲が終了すると拍手と共に沸き起こる「アンコール」の声。
最後は森山直太郎の『さくら(独唱)』をアカペラで歌います。
アンコールが終わり、大拍手の中、ライブは終了しました。
会場から温かい声援が送られます。
中には「弟子にして!」とすっかりファンになった方もいたようです。
終了後は、希望者のみCD販売・サイン会・握手会が開かれました。
テーブルにはマネージャー(?)のミッフィーがお客さんを待ちます(笑)。
CD販売のテーブルには想像以上に利用者さんが殺到。
松尾さんの歌に聞き惚れた方々が行列を作り、
会話を楽しんだりCDを購入したりしていました。
松尾さんはこれからもホスピタルライブ活動は
精力的に続けられるとのことです。
曲や歌声も素晴らしかったですが、
松尾さんの考え方や行動には大変勇気をもらいます。
また機会があれば是非松尾さんのライブを見たいと思っています。
松尾貴臣さん、お疲れ様でした。
静岡市桜の園のスタッフの方々、ありがとうございました。
松尾貴臣さんの情報は以下をご覧ください
【音楽家松尾貴臣HP】http://www.omitaka.com/
→活動履歴やプロモーションビデオが見られますよ!
【こころざし音楽工房HP】http://www.omitaka.com/cocolozashi/
松尾貴臣さんの最新アルバムです。
『ハッピーソングス』 松尾貴臣